ソムリエのワンポイント解説付き
5分でわかるワインの選び方 Vol.1
ワインの種類が多すぎて、
何を基準に選べばいいのかわからない・・・
シャルドネとは?ブルゴーニュとは?
そんなワインに迷える皆さんに、
5分でわかるワインの選び方を伝授します。
第一弾はブドウ品種と産地についてのお話です。
ワイン選びにおいてブドウの品種と産地は特に重要な要素。
この2つさえ押さえれば、ワイン選びが驚くほど簡単になります。
ソムリエのワンポイント解説を交えながら、わかりやすくお伝えしていきます。
まずはこれだけ
ワインを選ぶときのポイント
ワインビギナーがまず押さえるべきポイントはたったの2つ。
1.品種
2.産地
ワインビギナーがワインを選ぶときに確認すべき情報は、ブドウの「品種」とワインの「産地」です。
香りや生産年、生産者、格付けなど、ワインの味わいを決める要素はほかにもたくさんありますが、
最初から全部を理解しようとしなくてOKです。
1.代表的なブドウの品種
ワイン造りに使用されるブドウの品種は世界中に800種類以上、主要な品種だけでも50種類ほどあるといわれます。
そのすべてを覚える必要はありません。まずは、6つの代表的な品種を押さえることから始めましょう。
とりあえずはこの6つ!
代表的なブドウ品種
赤ワイン
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- メルロー
- ピノ・ノワール
白ワイン
- シャルドネ
- ソーヴィニヨン・ブラン
- リースリング
さっそく、それぞれの特徴を見ていきましょう。
赤ワインのブドウ品種
赤ワインの王道
カベルネ・ソーヴィニヨン
しっかりした渋み
濃厚な味わい
世界各国のワイン産地で生産される、最も有名な赤ワイン品種。ワインを知る上では欠かせない品種です。
渋みが強く、濃厚でしっかりとした味わい。
おすすめのワイン
主役にも引き立て役にもなれる
メルロー
渋みは穏やか
マイルドな味わい
カベルネ・ソーヴィニヨンよりも渋みはマイルド。
まろやかで滑らかな口当たりが魅力です。
カベルネ・ソーヴィニヨンとの相性がよく、ブレンドされることも多い品種です。
おすすめのワイン
エレガントで繊細
ピノ・ノワール
豊かな果実味
軽めの口当たり
渋みは少なめで酸味が強く、フルーティーな味わい。
カベルネ・ソーヴィニヨンよりも軽めの赤ワインが好みの方におすすめです。
最高級ワイン「ロマネコンティ」をも生み出す高貴な品種です。
おすすめのワイン
白ワインのブドウ品種
白ワインの代表格
シャルドネ
果実味と酸味の
バランスがよい
白ワインの中でもトップの人気を誇る品種、シャルドネ。
世界中で栽培されており、産地や造り手によって味わいや印象ががらりと変わる面白い品種です。
ぜひ飲み比べを楽しんでみてください。
おすすめのワイン
すっきり爽やか
ソーヴィニヨン・ブラン
酸味と香りが
特徴的
シャルドネよりもすっきりとした味わいの品種。
ライムやレモンなどの柑橘系、またハーブにも似た独特の香りとキリっとした酸味をもつことが特徴です。
おすすめのワイン
ファンが多い高貴品種
リースリング
しっかりした酸味
と華やかな香り
甘味と酸味のバランスがちょうどよく、多くの人を魅了する品種です。
シャルドネよりもフルーティーな味わいを楽しみたい方におすすめ。
辛口から甘口まで、多様なスタイルのワインが造られています。
おすすめのワイン
2.ワインの産地
ブドウ品種の次に押さえたいポイントは「産地」です。
ワインの産地が分かれば、ブドウ品種の大体の目星をつけることができます。特にフランスのワインは、
「この産地=この品種」といえる地域ばかり。
では、産地ごとの代表的な品種をご紹介していきましょう。
フランス
フランスワインの産地は大きく9つの地方に分けられます。
- ①ボルドー地方
- ②ブルゴーニュ・ボージョレ地方
- ③シャンパーニュ地方
- ④プロヴァンス地方
- ⑤アルザス・ロレーヌ地方
- ⑥ランドックルーシヨン地方
- ⑦コート・デュ・ローヌ地方
- ⑧ロワール地方
- ⑨シュッド・ウエスト地方(南西地方)
①ボルドー地方
世界中で最も有名なワイン産地
カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローを主体に、複数のブドウ品種をブレンドして造られる上質な赤ワインが有名です。
「ワインの女王」とも称されるボルドーワインは、世界のワイン造りのお手本とされています。
味わいの特徴は?
しっかりめの味わいがお好みならカベルネ主体、飲みやすさを重視するならメルロー主体がおすすめです。
②ブルゴーニュ地方
超高級ワインを生み出す名産地
ボルドー地方と並び、フランスを代表する高級ワイン産地です。ブレンドしない1品種でのワイン造りが大きな特徴。ブルゴーニュ産のワインは「ワインの王様」とも呼ばれ、世界中で高く評価されています。
毎年11月の第3木曜日に解禁されるボージョレ・ヌーヴォーや、辛口白ワインのシャブリもこの地で生産されています。
味わいの特徴は?
上品な香りと長い余韻が楽しめます。地域によってワインの味わいが異なるのも大きな特徴です。
③シャンパーニュ地方
高級スパークリング「シャンパン」のふるさと
フランス最北部に位置するシャンパーニュ地方は、高級スパークリングワイン「シャンパン」の生産地として世界的に知られています。
「シャンパン」という名称は、シャンパーニュ地方で造られるスパークリングワインのみが名乗れる特別な呼び名です。
伝統的な製法で丁寧に作られるその味わいは、まさに格別。特別な場を華やかに演出するワインとして、大変人気があります。
味わいの特徴は?
白ブドウの比率が多いとすっきりめ、赤ブドウの比率が多めだどコクのある芳醇な味わいが楽しめます。
④プロヴァンス地方
フランス最大のロゼワイン産地
地中海に面したフランス南東部に位置するプロヴァンス地方。温暖な気候と自然豊かな環境をもち、観光地としても高い人気を誇ります。
生産されるワインのなんと約90%がロゼワインを占めるという、フランスロゼワインの一大産地です。
味わいの特徴は?
フレッシュかつフルーティーで軽めの味わい。
食前酒から食中酒まで幅広く楽しめます。
⑤アルザス地方
個性豊かな白ワインが多くのファンを魅了
ドイツと国境を接するアルザス地方は、ワイン造りにおいてもドイツの影響を受けている少し特殊な産地です。
個性的な味わいをもつ白ワインがとても人気。背が高くスラッとした細身のワインボトルを用いている点も大きな特徴です。
味わいの特徴は?
芳醇な香りをもつ個性豊かな白ワインがとても人気です。甘口から辛口まで多様なスタイルのワインがあります。
⑥ラングドック ルーシヨン地方
安旨ワインの宝庫。好みの味を見つけやすい
フランス最大のワイン産地であるラングドック ルーシヨン地方。南フランスの温暖な気候を活かして、多種多様なブドウ品種が栽培されています。
気軽に楽しめるカジュアルなワインが揃い、比較的手ごろな価格帯で品質の高いワインが手に入る産地といえます。
味わいの特徴は?
赤・白・ロゼ・スパークリグまで、ワインビギナーにも親しみやすい豊かな果実味をもつワインがそろいます。
⑦コート・デュ・ローヌ地方
フランス南東部に位置する、南フランスの代表的なワイン産地です。
南北にワイン産地が広がっており、北部と南部では栽培されるブドウの品種が異なるため、ワイン造りの特徴も大きく違います。
ボルドー地方やブルゴーニュ地方にも負けない高品質ながら手頃な価格のワインが造られており、狙い目の産地ともいえます。
味わいの特徴は?
凝縮した果実感に加え、香りもポイント。品種や生産地域によって異なるワインの香りを楽しみましょう。
⑧ロワール地方
バラエティー豊かなワインが揃う
「フランスの庭」とも呼ばれる自然豊かなロワール地方。フランスでもっとも長い全長1,000キロメートルを超えるロワール川沿いにワイン産地が広がります。
地域ごとの特徴を活かして、赤・白・ロゼ・スパークリングと、さまざまなワインが造られています。
味わいの特徴は?
酸味と果実味のバランスのよさがあります。
ほのかな甘さのロゼワインにも注目です。
⑨シュッド・ウエスト地方
知る人ぞ知る!隠れたワインの名産地
ボルドー地方の南部に位置するシュッド・ウエスト地方は、実は隠れたワインの名産地です。
知名度は高くありませんが、個性豊かでコストパフォーマンスに優れたワインを数多く生産しており、魅力ある産地として注目されています。
味わいの特徴は?
赤ワインはパワフルで濃厚な味わいです。個性豊かな品種がワインに独特な風味を与えます。
ここからは、
フランス以外の世界の有名ワイン産地のご紹介です。
イタリア
フランスと並ぶ世界有数のワイン産地のイタリア。
20あるすべての州でワインが生産されています。
その中でも、代表的な2つの産地を押さえておきましょう。
- ①ピエモンテ
- ②トスカーナ
①ピエモンテ
イタリアワインの王が生まれる高級産地
アルプス山脈のふもと、フランスとスイスの国境近くに位置するピエモンテ地方は、古くからワイン造りの歴史を持つ地域です。
イタリアワインの王「バローロ」、女王「バルバレスコ」が生産される高級産地として知られます。
味わいの特徴は?
長期熟成タイプの力強さをもつ赤ワインが有名。
甘口のスパークリングワインも人気です。
②トスカーナ
海側と山側で異なる個性のワインが生まれる
トスカーナは、ピエモンテと並びイタリアで最も重要なワイン産地のひとつです。
「キャンティ」「ブルネロディモンタルチーノ」など伝統的な赤ワインや、「スーパートスカーナ」と呼ばれる新しいタイプの赤ワインが造られており、イタリアを代表する産地として、世界中から大変人気を集めています。
味わいの特徴は?
フレッシュな香りと強めの酸味をもつワインのみならず、力強く濃厚な味わいのワインもぜひ味わってみてください。
アメリカ
広大な面積を持つアメリカでは、異なる地形や気候の特徴を生かして多種多様なワインが造られています。
主要産地は、カリフォルニア、ワシントン、オレゴン、ニューヨークの4つです。
- ①ナパヴァレー
①ナパヴァレー
恵まれた気候を生かしプレミアムなワイン造り
イタリア、スペイン、フランスに続き、世界で第4位のワイン生産量を誇るのがアメリカです。
カリフォルニアが生産量の約90%を占めており、特に超プレミアムワインの「オーパス・ワン」で知られるナパヴァレー地区に注目しましょう。
味わいの特徴は?
しっかりとした果実味をもつ、力強くも華やかなスタイルのワインが楽しめます。
ニュージーランド
「1日の中に四季がある」といわれるほど、昼夜の気温差が大きいニュージーランド。
じっくり熟して旨味を蓄えた良質なブドウが育ちます。
- ①マールボロ
①マールボロ
高品質なワイン産地として地位を確立
ニュージーランドのワイン造りの歴史は比較的浅く、商業化されたのは1970年代以降のことです。
しかし、その後の発展は著しく、ソーヴィニヨン・ブランをきっかけに、今では高品質なワインを産出する地域として世界に認められています。
味わいの特徴は?
パッションフルーツやハーブを思わせる香りと、強い酸味とミネラル感、長い余韻が魅力です。
まとめ
5分で分かるワインの選び方、第1回目は「品種」と「産地」についてのお話でした。難しいと感じてしまいがちなワイン選びも、品種と産地を知っているだけで、グッと簡単になります。
ぜひ参考にしてみてください。
第2回目は、ワインの味わいの表現についてお伝えしていきます。
この記事の監修者
ワインソムリエ・バイヤー
中尾 康宏
JSA認定ソムリエ資格保持。
大手百貨店のワインバイヤーに長年従事。